後期高齢者医療制度(長寿医療制度)が2008年(平成20年)4月1日よりスタートしましたが、なぜ老人保健法が廃止され、新しい制度へ移行することとなったのでしょうか?
後期高齢者医療制度(長寿医療制度)が始まった目的、背景は以下の通りです。
◎高齢者の医療費を安定的に支えるため。
◎高齢者と若い世代が公平に医療費を負担するため(負担割合を明確にするため)。
◎高齢者に対する医療、介護サービスの質を維持、向上するため。
日本は1990年代以降、少子高齢化が急ピッチに進み、2015年(平成27年)の統計によると、日本の総人口に占める高齢者の数と割合は・・・
年齢 |
人口 |
日本の人口約1億2,700万人に対する割合 |
65歳以上~ |
3,384万人 |
26.7%
(約3.8人に1人) |
75歳以上~ |
1,637万人 |
12.9%
(約7.8人に1人) |
80歳以上~ |
1,002万人 |
7.9%
(約12.7人に1人) |
上記の通りとなり、75歳以上の高齢者は10%を超え(数年後には間違いなく80歳以上が10%を超えるでしょう・・・)、さらに出生率も低下している事から日本は先進国の中で最も早く超高齢社会(65歳以上の高齢者が総人口の21%を超えた場合)&人口減少社会へ突入する事が確実となっています。
さらに高齢化社会が進むと当然、高齢者に対する医療費が膨張します。
現に高齢者に対する医療費は年々増加し、
75歳以上の老人医療費(平成26年度:約15兆円)は国民医療費全体(平成26年度:約40兆610億円)の約1/3を占めています。
このまま高齢化社会が進み、医療費が膨張すれば増加した医療費は国(各都道府県・各市区町村)、または現役世代が負担することになるか、高齢者に対する医療、介護サービスの質を落とさなければならなくなりますので、高齢者に対する医療、介護サービスの質を維持、向上させるためには医療制度を改革、根本的に見直さなければならないことは明白です。

せめて出生率が上がり、労働人口が増えれば国の税収も増加するため、増加した税収から医療費へ廻す事も考えられますが、出生率が低下し、労働人口も年々、減少していくこれからの時代、税収が増加するどころかドンドン減少して行きますので、このままの医療制度では確実に若い世代(現役世代)への負担が大きくなり、それではあまりにも不公平だといわざるを得ません。
上記のような背景から医療制度改革の柱の1つとして、高齢者に一定の保険料を負担してもらい、高齢者の医療費を安定的に支え、高齢者と若い世代が公平に医療費を負担し、高齢者に対する医療、介護サービスの質を維持、向上する目的で後期高齢者医療制度(長寿医療制度)が始まったのです。
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